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IT企業に入社してから、次第にその企業がブラック企業であることに気づきました。
しかし、周囲の人々に恵まれたおかげで、なんとか乗り越えることができました。
給料や社内の状況について詳しく紹介していますので、IT業界に興味がある方や気になる方は、ぜひご覧ください。
目次
IT企業での勤務
インターネット関連の業務を中心に、大手企業向けのウェブサイト制作やデータベースの構築を手掛けるユニコーン企業です。
設立から1年後には、誰もが知るエンターテイメント系のインターネットアプリの開発や、政府機関向けの堅実なサイト構築など、多岐にわたるプロジェクトに取り組んでいました。
入社当初のこと
渋谷が「バットバレー」と呼ばれていた頃、ライブドアなどの新興企業が登場し、インターネットが普及し始めた時期に私はその会社で働いていました。
仕事は多くの楽しさに満ちており、充実した社会人生活のスタートを切ることができました。
最初は立ち上げメンバーの指導のもとで学びながら、大手企業のプロジェクトをサポートしていましたが、1か月後には自分一人で様々な業務に取り組むことができるようになりました。
ウェブディレクターとして携わった仕事
- コンセプトメイキング
- ワイヤーフレーム構築
- SEさんへのシステム構築
- デザイナーさんへの発注
- アルバイトさんへのコーティング指示
- 外注さんへの発注やクオリティチェック等
入社してからの一年間、私は責任の重い仕事を5件も同時にこなすという、非常に忙しい日々を送っていました。
社会人としての初めての年であり、年俸制だったため、残業手当は一切支給されず、夜遅くまで働くことが常でした。
終電で帰ることも多く、朝はフレックス制度を利用しつつも、11時頃には出社するのが日課でした。
残業が20時を超えると、1,000円の晩飯手当が支給されるという状況でした。
福利厚生として、高級スポーツジムの法人会員になっており、無料でジムやプールを利用できる特典がありました。
気分転換に泳いでから帰ることも多く、その時は充実した毎日を送っていると感じながら、一生懸命に頑張っていました。
ブラック企業かも?と最初に思った瞬間
仕事を進めるうちに、担当するウェブサイトが増え続け、残業をしてもなかなか仕事が終わらない状況になってしまいました。
それでも、周囲の人たちも同じような状況だったため、疑問を持つことなく残業や夜勤、さらには徹夜をするようになり、最終的には土日出社も当たり前のようになってしまいました。
この状況に少し疑問を感じ始め、この会社は有名だけれど、果たしてこれが普通なのか?と考えるようになりました。
特にSEの人たちの徹夜が多く、仮眠室は「タコ部屋」と呼ばれ、朝になると各部署の女性マネージャーが母親のように皆を起こしに来る姿を見て、なんだか異常な雰囲気を感じました。
タコ部屋ではSEの男性たちが寝泊まりしていたため、同じベッドで寝るのは気持ち悪く、自分のデスクの下にダンボールを敷いて、そこで寝るというか、睡魔に負けてダウンする状態になっていました。
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福利厚生として提供されていた高級スポーツジムが、実際には徹夜明けの社員がシャワーを浴びるために利用されていることに気づいたとき、私は驚きを隠せませんでした。
健康促進のための施設であるはずが、実態は全く異なっていたのです。
それでも、施設内にはジャグジー付きの浴槽があり、別の店舗では夜間にプールが美しくライトアップされていて、リフレッシュや気分転換には最適でした。
しかし、実際には設立当初からこのような異常な利用方法が根付いていたようです。
自分の楽しみを作っておく
日々の楽しみは、周囲にたくさんの安くて美味しいランチスポットがあることでした。
そのおかげで、毎日の昼食がまるで休日のように待ち遠しいものでした。
隣駅の有名なカレー店に電車で出かけたり、ゆっくりお茶を楽しんだり、少し長めに昼休みを取ったり、常連のカフェのマスターと親しくなって、みんなにチョコレートを配ってもらったりと、充実したひとときを過ごしていました。
仕事は大変でしたが、楽しい出来事や素晴らしい人々に恵まれたおかげで、初年度は本当に楽しい思い出がたくさんあります。
徹夜や土日出社も、今振り返ると楽しい経験に変わっています。
まるで洗脳されていたかのような感覚ですね。
ブラックだらけな給料・手当面
残業手当が支給されないことが、この会社のブラックな特徴の一つです。
もし残業代が出ていたら、ベンチャー企業としては経営が成り立たず、倒産してしまうでしょう。
入社してわずか1ヶ月で、著名なウェブサイトの制作や運営を担当するウェブディレクターとして働く中で、まるでサルが電車を運転しているかのような状況を感じたこともありました。
社内の男女比はほぼ均等でしたが、女性たちも非常にタフで、徹夜作業が日常的に行われている光景が広がっていました。
住宅手当や自転車購入補助が一応あり、会社から2km圏内に住むことで手当てが支給される仕組みでしたが、いつでも会社に駆けつけられるようにという考え方は、今振り返ると恐ろしいものだったのかもしれません。
土日出社が当たり前だったため、土日に有給を使うことが理解できない状況でした。
神奈川から都内への通勤は約2時間かかり、その間はまるでオフィスのような状態で、駅のホームで電車を待っている間にも企画のチェックを行い、寝る以外は常に仕事のことを考えている状態でした。
終電を逃すことは避けたかったのですが、最寄り駅に住む友人の家に泊まることで、会社に閉じ込められる日々からなんとか逃げ出していました。
スターバックスが日本に上陸した頃と重なり、業務中に少し抜け出しては、アイスカフェラテのグランデサイズを毎日楽しんでいました。
当時のスタバの味は本当に格別で、仕事をしながらその美味しさを堪能していました。
最終的には、スタバで販売されていたタンブラーを手に入れ、コーヒーを飲みながら心を整え、仕事に全力を注いでいました。
若さゆえに、そんな日々を乗り越えられたのかもしれません。
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入社してからの一年目に年俸交渉がありましたが、実際には交渉というよりも一方的に知らされるだけの面談でした。
昇給はわずか3,000円で、自分の努力がこの程度の評価なのかと大変失望しました。
同期の中には、帰宅が面倒だから会社に残っているだけの人がいて、その人の昇給は6,000円でした。
勤務時間が長いという理由だけで、私との間に2倍の差がついていることに強い不公平感を覚えました。
個人のスキルや努力を全く見ようとしない
元々映像関連のネット配信の仕事を目指して入社したのですが、面談で映像の仕事を希望したところ、仕事があればやってもいいが、今はないから自分で仕事を取ってきてほしいと言われ、会社の体質に疑問を感じました。
多少配慮してもらい、当時人気のマルチメディア系の企画制作部門に異動させてもらったものの、以前担当していたウェブサイトの仕事はそのまま残り、結局仕事が増えるだけでした。
その結果、ますます不信感が募り、案件を辞めたいという勇気も希望も失ってしまいました。
とはいえ、夏休みを利用して2週間アメリカに遊びに行きましたが、上司たちは普段のブラックな状況を知っているため、何も言われませんでした。
アメリカの友人を訪ねてリラックスしたり観光を楽しんだりして、幸せな2週間を過ごしました。
サンフランシスコの漁港でクラムチャウダーをかき混ぜているラテン系の若い店員を見て、こうした仕事をして人らしく生活している人がいることに気づき、目が覚め、会社を辞める決意を固めました。
ブラック企業内での周りの様子
周囲には非常にタフな人々が多く、男女問わず精力的に仕事をこなしていました。
皆、適度に働きながらも、健康を害することなく業務を遂行しているようでした。
プロジェクトが終わるたびに、打ち上げが行われ、飲み放題・食べ放題で会社の経費を使ってリフレッシュする機会が設けられていたのは、会社が社員のストレスを軽減しようとしていたのかもしれません。
ある日、偶然にも共有サーバーに全社員の給料に関する極秘ファイルが落ちているのを発見した社員が、その内容をコピーして皆にこっそりと広めました。
その結果、役職に就いているアドバイザーたちが、夜勤や徹夜をせずに高額な年俸を得ていることが明らかになり、社内に緊張が走りました。
社員向けには給料表が公開されており、最大でも70万円という現実を知った社員たちは、夢のない給与体系に不満を抱きつつも、役職者との不公平感に対して何も言えずにいました。
意見を言う立場ではないため、書類はすぐに処分されました。
それでも、辞める人がほとんどいなかったのは不思議です。
バブル崩壊後の時代で、辞めても仕事が見つからない現実や、辞めることで他の人に負担をかけたくないという思いから、皆が良い人であり続けたのかもしれません。
素晴らしい人たちばかりでした。
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ブラックでの勤務も良い経験です
現在は別の職に就いています。
約1年半勤務した後、フリーランスとして活動を始め、外注スタッフとして自宅で仕事をしていました。
ウェブ関連の会社でしたが、時折映像の仕事もあり、学生時代に夢見ていた映像制作に携わることができました。
その結果、報酬も社員時代よりも増え、より良い条件で働くことができるようになりました。
ただし、厚生年金がなくなり、国民年金に切り替えたのですが、知識不足から数年間その手続きを怠り、空白期間が生じてしまいました。
それでも、ハードワークを通じて多くの経験を積むことができ、貴重な学びとなりました。
今でも元同僚たちとは連絡を取り合い、戦友のような絆が生まれました。
もし収入が安定していたら、辞めることはなかったかもしれません。
現在、その会社は非常に有名になっていますが、私たちの努力の上に成り立っていると自信を持って言えます。