市役所でのお役所仕事。公務員職は安泰と世間一般では思われていますが、それとは裏腹に仕事の量は膨大。
休日もろくに取れず有給は溜まる一方。
残業時間は多かったですが、その分得ることも多いです。自分のスキルを上げるために働いてみるのもいいと思います。
公務員を志した理由
前職になりますが、市役所職員をしておりました。
就職先に希望したのは、最低限度の収入と安定した生活を手にしたいと考えたためです。
平日はほどほどに働き、休日は体を癒やしつつ、趣味に没頭する。
そんな平穏無事な人生を実現するべく、公務員を志しました。
その中でも市役所職員を希望したのは、単純に県庁や国家公務員は転勤によって勤務先が変わる恐れがあり、その点に不満を感じたからです。
組織の都合によって、恋人や友人との接点が転勤によって途切れていく、そんな事態に陥りたくなかったのです。
面接で聞かれる3つの質問
一般的な公務員試験同様、学力試験、小論文、個人面接、集団討論の合計4つで審査が行われました。
その中でも、個人面接で聞かれた3つの質問をご紹介します。
一つ目の質問
本市に緑(ゆかり)のある人物をご存知ですか?
大抵の市町村のHPでは、その土地をPRするために、歴史上の人物などを宣伝しています。
つまり、最低限の下準備をしている受験者ならば、知っていて当然の質問というわけです。
振い落しとしては簡単かつ初手に問いやすいため、大抵の面接で聞かれました。
よっぽど専門的な知識を有していない限りは、オーソドックスな回答をしておく方がベターです。
地元民に地元由来の知識について話すことは、余計な墓穴を掘る危険があります。
二つ目の質問
この世に必要のないと思うモノを教えて下さい
こちらは公益性という広い視野を持っているかを確認する質問になります。
市役所には本当に多種多様な人物が来庁されます。
身体障害者や精神障害者、外国人等々、自身と全く違う価値観や習慣の人々と接する仕事です。
そのため、健常者や自身の性別に偏った考えの人物を採用するわけにはいかないです。
全てのモノは、誰かの欲しいという願いのもと生まれた訳ですから、これは不要ですと回答するのは危険です。
あくまでも、必要ではあるが現況のままでは不便なモノ、より良いモノに代替え出来るものというニュアンスで回答するのが良いと思います。
三つ目の質問
希望する部署はありますか
こちらが一番厄介な質問になります。
何故なら、市役所は3年程度の短いスパンで、非常に多種多様な部門に異動する組織です。
そのため、個人の希望が通ることは稀であり、未経験、興味のない仕事に就く可能性の方が高いです。
やる気の高さが災いし、無関心な職場で苦心し、退職する辞令は非常に多くあります。
また、本職の職員を相手に市役所の組織全てを暗記して、知識で勝負を挑んでも勝ち目はありません。
揚げ足を取られて、萎縮してしまうのが目に見えています。
この質問の必勝法は、「人と話す仕事、特に現地に出向いてこちらから会いに行く仕事」と答えるのがべストです。
市役所の仕事は基本は窓口ですから、全員が人と話す仕事です。
アピールしたいのは、自分から人と会話したいという前向きな姿勢です。
生活保護者や観光協会、農業者などコチラから出向く部署も多くあり、質問の幅を狭めることも無く、質問の方向性が限定される心配も少ないです。
過酷な公務員職
最初に宣言しておくと、公務員が定時に退社できるといのは夢物語です。
私自身は3つの部署を経験しましたが、全ての職場で過労死ラインを超過した残業時間で仕事をしていました。
具体的には、毎日夜10時まで仕事をし、土日の片方は出勤するという生活を退職するまで送っていました。
その件については、たまたまブラックな部署に配属されたという不運とも言えますが、他にも苦労した点はあります。
災害時やボランティアへの動員
まず、台風などが発生した場合は、必ず避難所に動員されます。
私自身も徹夜で避難所に待機し、そのまま出勤した経験が何度かあります。
同僚の中には、自身が被災しているにも関わらず、一般の避難者の対応に回される職員も居ました。
これは、公務員として働く以上一生付き纏う宿命になります。
自身や家族よりも、公僕としての役割の方が優先されるのです。
また、市内で開催されるイベントにボランティアとして参加を要求されることも非常に多いです。
イベントの規模が大きい程、暗黙の了解として多数の職員が強制的に動員されました。
係長等の管理職も動員されるため、逃れる術はありません。
また、地元からは、自治会や消防団の役員を期待されやすいため、休日がソチラの集まりで圧迫されやすい点も大変でした。
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人から信頼を得られる市役所勤務
市役所の仕事の利点は単純明快です。
他者の信頼を簡単に得られる点です。公務員を目の敵にした人物など極稀にしか存在しません。
周りの友人や親族、恋人などに職業を紹介する際に、マイナス面で見られることは全くありませんでした。
市役所での仕事内容
仕事内容について言えば、
- 広報記事を統括する立場につく
- 農家さんを相手に一億円規模の補助金の運営計画について話し合う
- 次年度の入庁の受験者の面接を担当する など
一般の企業では、直ぐには担当出来ない規模の仕事に、一年目から着手できます。
良くも悪くも身の丈に合っていない仕事を担当する機会に恵まれているので、一般の社会人よりも専門的かつ密度の濃い仕事に携わるチャンスに溢れていると言えます。
いうなれば、就職した時点で、万人に共有されている公務員というブランド力を手に出来る点が最大の利点です。
私自身も非常に多くの現場を回り、多様な職種の人々と話す機会に恵まれました。
中には、大企業の社長様や医師、芸能人と面会する事もあり、まるで記者の様な仕事を若輩公務員ながら経験しました。その経験が、どんな相手に物怖じせず、ハッキリと要件を伝える力を与えてくれました。
市役所勤務=休みは不安定、給料は安定
休日面については、前述の通りほぼ皆無でした。
当然ながら有給は溜まっていく一方です。退職前の有給消化については、却下すれば問題になるため、渋々ながら認可された形です。
一方で、給料面については確かに安定していました。残業代は予算の範囲内で支出されます。
私自身も年間の過労死ラインである800時間分は、キッチリ残業代をもらえました。
金額的には、新人1年目にして、年収350万程度はいただいていたと思います。ですが残念ながら、こちらにも落とし穴があります。
私の部署は幸いにも、残業が前提の部署であったため、残業分の予算が確保されていました。
しかし、中には予算が付かずに、残業代が支払えない部署もありました。
無い袖は振れないという言葉どおり、サービス残業で何とか回している部署も存在しています。
この違いは単純に、予算協議で残業代を確保できるかどうか?でしかないのです。
市役所勤務のメリット
私個人は、私生活の全ても公務に費やすという、目指した安定とは無縁の生活を送ってしまいました。
それを踏まえて、市役所職員はどんな人にオススメかをお伝えしようと思います。
現在様々な自治体が社会人経験者の採用を進めています。
企業の現場で磨かれた専門知識と経験を持つ人材を求める風潮が強まっているのです。
これは転職希望者にとっても大きなチャンスです。何故なら、自身の知識と経験を求められているため、前職に関連する部署にほぼ間違いなく配属され、長期間1つの部署で勤務できる可能性も高いのです。
学卒と同時に採用され、博打感覚で配属先が決定されるリスクがありません。
また、ゼロから知識を覚える必要も、その知識が配属替えと共に無意味になる心配もありません。
転職で公務員になるという採用の流れは、採用後の観点から見ても、嫌な仕事や興味のない仕事に携わる危険が、非常に少ないと言えます。
もし、新卒で市役所を希望される方については、その自治体の土地に精通しておくことを強く勧めます。
市民と話す際には、どこにお住まいかを聞く機会が多いため、地名が読めないと話になりません。
また、現場に出向く際に所要時間が分からないのも問題です。
面接の際にも、趣味のドライブを兼ねて土地勘を養う訓練をしています。とアピール出来るため、採用前も後も有益な勉強になります。
以上、私が市役所勤務を経て経験し感じたことをお伝えしました。就職・転職で悩んでいる方は市役所での勤務をぜひご検討ください。