【広告を使用しています】
大学病院の教授秘書の仕事は、あまり知られていないかもしれませんが、非常に重要な役割を担っています。
基本的には秘書業務ですが、教授という高い学歴と地位を持つ方々と関わるため、スケジュール管理や書類整理を効率的に行い、柔軟に対応する必要があります。
大学病院での秘書の具体的な業務内容について、詳しくご紹介いたします。
目次
大学病院教授秘書の仕事をしようと思ったきっかけ
義理の父が大学の勤務医であったため、医者の家系に属していることが採用面接でプラスになると考え、応募を決意しました。
義理の父との共通の話題ができれば、会話もより楽しくなるのではないかという期待もありました。
また、「秘書」という職業に対する魅力も大きな要因でした。
求人はインターネットで見つけ、派遣会社を通じて応募しました。
面接でのこと
面接は医局長が担当します。
義理の父が大学の勤務医であることを伝えたところ、彼はそのことについて深く掘り下げて質問をしてきました。
具体的には、大学名や医局、専攻、さらにはOBについての質問がありました。
私の場合、義理の父とは異なる診療科に所属していたため、適度な距離感を保つことができたと思います。
結果的に、身内が医療系でなくても採用される可能性があったかもしれませんが、もし身内に関係者がいる場合は、事前にそのことを伝えておくことが後々のために良いと考えます。
PCスキルの高さは特に重視されていません。
むしろ、積極的に働きたいという姿勢があまり強くない方が好印象を与えるようです。
仕事内容は、書類作成や郵便物の仕分け、アポイントやスケジュールの調整、さらには掃除や昼食の手配、雑務全般といった内容で、特に違いはありませんでした。
また、採用された医局の教授は医師と秘書の恋愛に対してかなり慎重な方だったため、その点について面接中に少し触れられました。
私自身は既婚者だったため、その点が安心材料となり、採用にプラスに働いたのかもしれません。
他の医局でも既婚者が多い印象がありますが、採用基準は医局ごとに異なり、最終的には教授の好みや意向に左右されるようです。
大学病院教授秘書の仕事内容・大変だったこと
医療現場では、医師や看護師、技師などが資格を持つ専門職であるため、資格を持たない秘書は非常に立場が弱いのが現実です。
社会的地位の高い医師のそばで働くことは、常に緊張を伴います。
彼らは学歴を重視し、厳しい競争を勝ち抜いてきたため、プライドも高いのです。
そのため、秘書はしばしば軽視され、挨拶をしても無視されることも少なくありません。
感情を抑えながら淡々と業務をこなしていましたが、今振り返ると、よく耐えていたなと感じます。
こちらもCHECK
病院の雰囲気に飲み込まれないように
大学や病院の事務方は、あまり明るい雰囲気ではなく、基本的に冷たい印象を受けることが多いです。
大学は役所のような雰囲気があり、病院は忙しさからか緊張感が漂っています。
そのため、医師と事務の間での調整には細心の注意が必要でした。
特に、医局内に複数の秘書がいる場合、他の秘書との関係が非常に重要です。
教授との相性よりも、こちらの方が影響が大きいと感じます。
少人数の秘書がいる場合、仕事の分担やチームをまとめるリーダー秘書の存在がカギとなります。
これがうまく機能すれば、居心地の良い職場になるでしょうが、逆にうまくいかないと非常に厳しい状況になります。
耐えるか、辞めるかの選択を迫られることもあります。
秘書同士の関係が悪化して退職するケースは少なくありません。
これは運に左右される部分も大きいです。
大学教授秘書の仕事内容
1.教授のスケジュールの管理
大学内外の大学や研究機関から教授とのアポイントメントを希望する問い合わせが寄せられています。
そのため、教授のスケジュールを確認しながら、空いている時間にミーティングなどのアポを設定します。
さらに、重要なミーティングが予定されている場合は、前日や当日の朝に教授にリマインダーをお送りし、予定を再確認してもらうようにします。
2.教授の出張の手配と精算手続き
教授は国内外の学会に参加し、プレゼンテーションを行ったり、他の大学や研究機関の教授と共同でミーティングや実験を行うために頻繁に出張します。
そのため、航空券の手配やホテルの予約、公共交通機関の情報収集と報告、場合によってはレンタカーやタクシーの手配を行います。
海外出張の際にビザが必要な場合は、必要書類を準備し、手続きを進めます。
さらに、教授の出張に関する詳細を記載した出張の伺書を作成し、大学に提出して承認を得ます。
出張から戻った後は、出張中に発生した必要経費や日当、手当の精算書類を作成し、大学に提出します。
こちらもCHECK
3.教授の研究室の予算の管理と物品の購入処理
教授の研究室の予算は年度ごとに異なるため、適切な管理が求められます。
そのため、定期的に教授に予算の進捗を報告し、急な支出が発生した際には教授と相談しながら対応することが重要です。
この予算を活用して、研究に必要な機器や試薬などの消耗品を購入する手続きを進めます。
特に大規模な実験機器を購入する際には、入札手続きを行うこともあります。
4.招へい者の出張の手配と精算手続き
大学や研究室の環境では、互いの機関を訪問し、討論や共同実験を行ったり、セミナーを開催することが一般的です。
このため、教授が他の大学や研究機関の教授や研究者を招く機会が多くあります。
教授の秘書として、招待された研究者との連絡を取り、希望するフライトの手配や滞在中のホテル予約、空港からホテルや大学への移動手段としてタクシーの手配を行うことが求められます。
さらに、招待者が外国人で日本に入国する際にビザが必要な場合は、その申請手続きを行います。
滞在中は招待者のスケジュールを管理し、セミナーが行われる際には会場の設定や招待者の案内も担当します。
また、招待者が特別な希望(地元の料理や観光地など)を持っている場合には、その要望に応じたサポートを提供します。
教授と共に食事に出かける際には、レストランの予約も行います。
そして、出張が無事に終了した際には、出張中の費用精算や日当の支払い手続きを行うことも重要な役割です。
5.研究室の職員のサポート
私が勤務していた大学では、各教授がそれぞれの研究室を持っており、その研究室で働く研究員や技術者のサポート業務も担当していました。
具体的には、彼らが学会に参加したり、他の大学へ出張する際の手配や経費精算を教授と同様に行っていました。
さらに、研究室での実験に必要な試薬や機器の発注、支払い処理も行い、外国人の研究員や技術者に対しては個別のサポートも提供していました。
新しい職員が加わった際には、迅速に研究室の環境に慣れるように手助けを行っていました。
6.論文を科学誌に掲載する手続き
教授や研究室の研究者が執筆した論文が、ネイチャーやサイエンスといった科学誌に掲載されることが決まった際には、その掲載に伴う費用の処理を行う必要があります。
私が関わっていた研究室では、科学誌に論文が掲載されることが多く、とても喜ばしい経験でした。
必要なスキルは?
スキル面では特に難しいことはありませんが、強いて挙げるとすれば研究費に関する書類作成です。
研究費にはさまざまな種類があり、国からの助成金も含まれています。
そのため、資金の管理には厳格なルールがあり、扱いが難しいと感じることがあります。
教授は研究費を持つことが多く、その管理を任されることもありますので、責任は非常に大きいです。
また、医療現場ではパソコンはほぼ全てMacが使用されていますが、事務作業ではWindowsが一般的です。
もしMacを使いこなせるスキルがあれば、大いに役立つでしょう。
check!
大学教授秘書の仕事をして良かったこと、身についたこと
7年間の勤務の中で、2回の産休を取得することができました。
この経験を通じて、命の現場にいることが影響しているのか、出産や子育てに対する理解が深まったと感じています。
急な休みのお願いにも快く応じていただき、本当に感謝しています。
派遣社員でありながら産休を取得し、復帰もできたことは、非常に恵まれた職場環境だったと思います。
普段の生活の中で病院に行く際、医者の当たり外れを直感的に感じ取れるようになることも、良い点の一つです。
特に子供のかかりつけ医を見つける際に非常に役立ちました。
こちらもCHECK
教授秘書の給料面・休日面
給料は時給制で、最初は1400円から始まり、最終的には1700円に達しました。
時給は各医局の財政状況によって異なるため、1000円から1800円の幅があります。
私の場合、派遣会社を利用していたため、比較的高めの設定となっていました。
- 賞与はなし
- 仕事内容に対して時給は高め
- 休日は土日祝休み
- 勤務時間は9時~17時
- 残業は無し
土曜日には診療を行っている病院もあり、そのために出勤する医局が存在するようです。
また、年に数回は学会の準備や医局会、忘年会などの理由で休日に出勤することもあります。
教授秘書として働く上で大切なこと
特別な資格は求められませんが、教授によっては海外とのコミュニケーションが必要な場合もあり、その際には英語のスキルが役立つことがあります。
資格よりも、医者という高い社会的地位に対して臆せず接するためのメンタルが重要です。
また、教授室と秘書室が一緒になっているため、教授と二人きりの状況が多くなります。
もし教授との相性が合わなかったり、その空間が息苦しく感じる場合は、厳しい環境になるかもしれません。
さらに、教授室は密談が行われることが多いため、同じ部屋にいると会話の内容が耳に入ってしまいます。
そのため、「見ざる、言わざる、聞かざる」の姿勢を持ち、必要に応じて空気を読みながら離席する機転も求められます。
立場を理解し、適切に行動することが大切です。
教授の性格や癖などをわかっておくことも大事
「この先生はお金持ちの家の子供だな」と感じることがよくありました。
特に若い先生たちにその傾向が見られました。
財布を無造作に置いて席を離れたり、現金をそのまま机の上に置いていたり、給料明細をシュレッダーにかけずにゴミ箱に捨てる姿を見て、彼らの感覚が一般とはずれていると感じることが多かったです。
ある時、滞納している税金の督促状の支払いを頼まれ、大金の札束と振込用紙を預かることがありましたが思わず笑ってしまいました。
こちらもCHECK
弁護士秘書の仕事内容|法学部出身の私が就職した弁護士秘書の仕事
弁護士秘書として弁護士事務所で働いていた時の体験談です。弁護士先生のサポートをするお仕事ですが、弁護士秘書の仕事内容、大変だったこと、良かったことなどを紹介しています。
続きを見る
製薬会社は定期的に勉強会を開催しており、その際にはお弁当や軽食が提供されます。
多くの場合、非常に高級なお弁当が用意されることが特徴です。
最近、製薬会社の方から経費が厳しいとの話を聞きましたが、それでも毎回素晴らしい高級なお弁当が出されることに感心しています。
立場の違いでびっくりすることも多々
大学の勤務医は給料が少ないと言われていますが、それでも若い医師たちの生活は非常に華やかに見えました。
私が勤務していた私立大学では、医師の家庭が多く、開業医の親を持つ裕福な家庭が多かったのかもしれません。
若手医師たちはとにかく派手な生活を送っていました。
大学の勤務医は一般のサラリーマンよりもはるかに高い収入を得ているため、独身であればそのお金を自由に使ってしまうのも理解できます。
仕事をきちんとこなすことが最優先です
結論として、現代の教授秘書はドラマに登場するような華やかなホステスのイメージとは異なり、控えめに教授を支える影の存在となっています。
かつては医者の娘が結婚前に少しお小遣いを稼ぐための職業とされていましたが、今ではそのような採用はほとんど行われていないようです。
医師との結婚を果たし、見事に寿退社をする秘書は今でも存在します。
私が7年間働いていた間にも、そんな秘書が2人いました。
彼女たちの共通点は、いつも完璧な服装とメイクをしており、とても魅力的な女性たちでした。
医師との結婚を目指す秘書も少なからずいますが、実際には多くの秘書が既婚者であり、医師や医局のために日々真摯に雑務をこなしています。
どの教授や医局に所属するかによって仕事内容は大きく異なりますが、最近では若くして40代で教授に就任する方も増えており、志の高い教授に恵まれれば、信頼関係を築きながら重要な仕事を任されるチャンスもあります。
そうなれば、多くのことを学び、やりがいを感じることができるかもしれません。