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不動産鑑定士の資格
「不動産鑑定士」は難関の国家資格でありながら、認知度が高いとは言えないようです。
そこで、不動産鑑定士とはどんな資格なのか、その資格を持った人はどこでどういう仕事をしているのかについて調べてみました。
不動産鑑定士としての登録までの道のり
不動産鑑定士は国家資格で、弁護士、公認会計士とあわせて「3大国家資格」と呼ばれることもあります。
資格取得のための国家試験は年齢、学歴、国籍、実務経験などを問わず誰でも受けることができます。
とはいえ、合格率は一次試験にあたる短答式試験で30%程度、短答式試験合格者が臨む論文試験では14%(いずれも2015年)と、かなりの難関です。
短答式試験
行政法規 、鑑定理論 の2科目について五肢択一のマークシート方式
論文試験
民法、経済学、会計学、鑑定理論の4科目について記述式で解答
短答式試験合格者は、その年の論文試験に受からなかった場合、翌年と翌々年の2年間に限って短答式試験を免除されます。
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国家試験に合格してから不動産鑑定士として登録されるまでには、「実務修習」というもうひとつの山があります。
実務修習:講義と基本演習の後、1~3年のコースを選択して「実地演習」を行う
全単元終了後に終了考査に合格して初めて、不動産鑑定士として仕事ができることになります。
国家試験合格後、実習期間を経て登録されるというシステムは、弁護士や公認会計士と共通していますね。
不動産鑑定士はどこでどんな仕事をする?
不動産鑑定士の主な仕事
不動産の鑑定評価・・・不動産の経済価値を判定し、貨幣額をもって表示すること
ざっくり言えば「不動産に値段をつけること」です。
不動産鑑定士は公的機関や民間からの依頼で様々な不動産の鑑定評価を行います。
毎年発表される「公示地価」の決定、不動産の売買や相続、担保の設定、不動産の証券化など、鑑定評価は様々な場で必要とされています。
ところで、不動産鑑定士による鑑定評価と、(不動産鑑定士ではない)不動産業者による「価格査定」はどのように異なるのでしょうか。
業者による査定は主に売り主の依頼によりサービスの一環として無料で行われるもので、内容、形式、査定方法などにばらつきがあり、公的機関に資料として提出するには適さない場合があります。
それに対し、不動産鑑定士による鑑定評価は、専門家としての詳細な調査・分析に基づいて有料で行われ、公的機関での証明能力を持つものです。
そのため、鑑定評価は不動産鑑定士のみが行える「独占業務」とされ、鑑定士には高度な専門性が要求されています。
不動産鑑定士が働ける場所
- 不動産鑑定事務所
- 不動産会社
- 信託銀行の不動産部門
- 資産運用会社 など
職場によっては鑑定だけではなく、不動産に関わる税金や法律についてのコンサルティングも行います。
また、地域別に見ると、全国の鑑定士のうちおよそ3割が東京で、7割が東京も含めた大都市圏で仕事をしているということです。
大都市では土地や建物の売買が盛んであり、不動産鑑定士を雇用する企業も多数あることから当然とも思われますが、地方で仕事をしたい方には難しい状況があるのかもしれません。
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不動産鑑定士は高い希少価値
全国の不動産鑑定士の登録者数はおよそ7,800名(2012年現在)です。
弁護士の登録者数がおよそ35,000名(2014年現在)であることと比較すると、かなり希少な職業です。
国家試験の受験者数も減少傾向にあり、2014年の最終合格者はわずか84名となっています。
仕事の認知度自体が低く、登録までの道のりが困難であることがその原因の一つでしょうか。
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不動産関係の資格としては、他にいわゆる宅建(宅地建物取引士)がよく知られています。
不動産鑑定士に較べると取得が容易であり、試験科目が一部重複していることから、不動産鑑定士へのステップとしてまず宅建を目指す、あるいは不動産鑑定士受験と同時に宅建も取得するケースもあるようです。
弁護士などが「過剰」を指摘されている昨今ですが、不動産鑑定士はその希少価値を保っており、簡単にIT化されない性格の仕事でもあります。
資格の取得は容易ではありませんが、不動産鑑定士の仕事は社会的・公共的に高い意義を持つ、挑戦する価値のあるものではないでしょうか。