動物園になくてはならない存在、飼育員さん。
動物の安全や健康を日々考え、お世話をする大事な職業です。
ここでは、動物園飼育員になるために必要なことや仕事内容などを紹介していきます。
動物園の飼育員にとして働こうと思ったきっかけ
この仕事に就こうと思ったのは遅く、高校生の時でした。
ペットも飼ったことがなかったので親にはすごく驚かれました。
部活動を引退して進路決定の時期となり、好きなことを仕事にしたいと思っていてふと思ったのが、昔好きだった動物園の事です。
栗林動物園という香川県に有る動物園なのですが、私が小学生の時に閉園となりました。
はっきりとこうだったとは覚えていませんでしたが、雰囲気がとても好きで、閉園まではよく通っていた記憶があります。
進路を決める時期にたまたま家族で旅行に行き、観光牧場へと足を運んだ事もきっかけのひとつです。
そのまま夏に動物の専門学校の体験入学へ行き、この業界がとても魅力的に思い、そのまま専門学校へと進学しました。
⇓乗馬クラブに就職した体験談⇓
こちらもCHECK
-
乗馬クラブに就職した時の仕事内容|住み込みでの馬との生活・1日の仕事
乗馬クラブのスタッフとして1年間勤務していた時の体験談です。入社時の面接、乗馬クラブの仕事内容、1日の流れなどを紹介しています。
続きを見る
動物園飼育員になるために私が実践したこと
私がまず行ったこととして、動物関係の専門学校へと進学しました。
専門知識の勉強は勿論ですが、初めはメモの取り方から学びました。
そんな事を?と思われるかもしれませんが、今では素早く理解が出来るようなメモをとれることがとても大事だと感じることが多いので、これを学んでおいて良かったと思っています。
専門学校で学んだこと・行ったこと
- 学校の生体を管理するゼミに入り交代で動物のお世話
- 元業界人の講師からどういう考え方で飼育に望めば良いのか等を学んだ
- 自分たちで飼育場のレイアウト決め
- 人工保育の挑戦
専門学校に入るべきでない、と言う意見も耳にしますが、私はそうは思いません。
実際に飼育員として働いていた人や、獣医師の授業はとても貴重な体験です。
むしろどうしてもっと在学中に質問しなかったのだろうと思っているほどです。
それに、専門学校最大の魅力は業界の求人がいち早く分かると言うことです。
業界には卒業生が多いため、毎年学生の研修生を募集している園や、積極的に学校へと足を運んでくれる企業もあります。
出来ることを出来るかぎり実践してきたつもりでしたが、勉学に関しては色々と後悔が残る学生生活でした。
動物園飼育園になるために必要なことは?
動物園の飼育員になるために必要な資格はとくにありません。
ですが、運転免許は持っていた方がいいです。
専門学校入学時にはマニュアル車の免許が望ましいと説明を受けました。
動物園は様々な場所にありますが、特に山の中にある場合が多いです。
園外も運転することもありますが、園内の急な坂道を動物やエサを乗せたり、排泄物を乗せて堆肥場に運んだりする場合にはマニュアル車が使われる場合が多いのでマニュアル車の免許を持っていた方が採用されやすいです。
他にも学生時代は愛玩動物飼養管理士という資格を取得している人もいました。
愛玩動物飼養管理士とは?
「動物の愛護及び管理に関する法律」の趣旨に基づき、愛玩動物(ペット)の愛護及び適正飼養管理の普及啓発活動などを行うために必要な知識・技能を、公益社団法人日本愛玩動物協会の通信教育によって体系的に修め、所定の試験に合格し、協会より認定登録された者
必須ではないですが、履歴書に書けるという点では持っていた方が企業への印象は良いかもしれません。
ちなみに私は取得していませんでした。持っていないから受からないと言うわけでも無いようです。
逆に園にもよりますが、飼育方面以外の事も業務内容にある場合もあるので、そっち方面で勝負するのもありかなと思います。
例えば注意看板や園内の掲示物を手描きやパソコンで作成したり、柵の補修をしたり、イベントの企画や運営等をすることもあります。
それらをアピールできるような資格や経験、実績があれば良い印象を与えられるのではないでしょうか。
海外からの来園者も多いので、企業によっては英語のスキルは特に強みになると思います。
また、採用試験は企業によって様々です。
面接のみの企業もありますが、筆記や実習がある場合もあります。
私は私営の動物園の試験を受けましたが、論文や一般常識の試験がありました。
公営の動物園や水族館は公務員なので、当然ですが公務員試験を受ける必要があるので、他の公務員と同じように試験に向けての勉強が必要となります。
⇓トリマーの仕事体験談⇓
こちらもCHECK
-
トリマーの仕事内容は?1日の流れ・給料面など|トリマーは体力勝負
トリマーとして働いていた時の体験談です。トリマーの一日の仕事内容、トリマーの大変なこと、給料面などを紹介しています。
続きを見る
動物飼育員の配属先
動物園、水族館の中にも私営と公営とに分かれています。
公営は公務員として従事することになります。
会社が大きければ大きいほど部署が多くなるので飼育員を志望しているからといって、飼育の部署に就けるとは限りません。
事務だったり、広報だったり、売店に配属される場合もあります。
飼育部に配属されても、どの動物の担当になれるかも不明です。
ですが、例えば最初に売店に配属されたとしても、後々飼育部に配置換えになることもあれば、担当動物も希望していればその動物の担当に就かせてもらえる事もあるので、まずは働きたい動物園があるのであれば受けても良いのかもしれません。
ですが、飼育員限定で募集をかける企業もあるので、そちらの方が飼育員になれる確率は高いかもしれません。
私は私営の動物企業に入社し、初めは委託業務で数年間は公営の動物園で勤めました。
後に、その企業が運営する動物園で務める事になりました。
動物園飼育園の仕事内容
私は私営の動物園で飼育員兼アニマルトレーナーとして勤務していましたが、業務内容は驚くほど多いです。
大半は動物に関わる業務ですが、時間のほとんどを占めているのは獣舎掃除の業務です。
動物によっては寝室と展示場(お客さんが動物を見る外の広いスペース)の二種類あるので体力勝負となります。
動物園飼育園の1日の仕事
- 動物園が開園するまでには動物を全て展示場に移動させる
- 動物の健康チェック(ご飯の残し量・排泄物の状態・触診など)
- 動物園内の掃除・ゴミ拾い
- イベント・アニマルショーの準備
- 獣舎掃除
- お客様の対応
- ふれあい広場の監視(ふれあいの諸注意や動物説明・売りエサの販売)
- 販売している動物のおやつの補充
- 動物のエサやり
- 夜ご飯の準備
- 園内の設備の補修や掲示物を作成
- 動物のトレーニング
- 閉園間近になると、寝室にエサの設置をする準備
- 展示時間が終わる頃に動物を少しずつ寝室へ戻し、日中に動物がいた展示場の掃除
動物のエサの準備では、野菜果物を切ったり、肉を食べやすいように切ったり、魚にビタミン剤を添加したり、エサも種類や個体ごとに食べるものや食べる量が違うので覚えるのに一苦労です。
日によっては動物のメンテナンス(体重測定、爪切りやブラッシング)をしたり、動物の獣舎のレイアウトを作ったり、人工保育をするために夜中に一度園へ訪れる事もあります。
他にも園外へ施設の装飾品の買い出しだったり、他園への動物の輸送、移動動物園などの業務を行うこともあります。
園内に獣医師がいる企業もありますが、そうでない所は病気の動物を病院へ連れて行く業務もあります。
殆どの時間を動物に費やしていますが、それと同時に接客業でもあるので、人と話す機会も大変多い仕事です。
園内を訪れるお客様が気持ちよく過ごされるようにいつも笑顔で接しています。
動物園飼育園の大変なこと
とにかく動物と接する事が大変でした。
動物が何を考えているかが分からないので、何が合っているか正解の無い状態で日々接していました。
私はトレーニングをおこなっていたので、動物の気持ちや行動原理について考える時間は多かったように思います。
動物は基本的に弱っているのを隠す習性があるので、行動をよく観察していないと怪我や病気にいち早く気づく事が出来ません。
動物と接する時間をより多く過ごすには、時間の確保が必要だったため、動物と接さない獣舎掃除などの業務を如何に早く終わらせることが出来るかが課題でもありました。
また、動物や人の安全管理がとても大切な職業なので、危険予測を常にしながら業務をこなしていました。
たまにニュースで動物が逃げ出したり、飼育員が動物に襲われたりというニュースを見かけます。
動物園における安全管理ではこれらが大きく認知されていると思いますが、これだけではありません。
安全管理においては、決まりや手順を守る事も大切で、それらを守らなければ動物が病気をしたり怪我をしてしまいます。
例えば放飼場を囲う柵を補修する場合や獣舎のレイアウトでは、動物が乗ってもグラグラしたり崩れたりしないように、また釘等危険なものが飛び出さないように気を配ったり、動物の手の届く範囲に危険な物は置かないように配慮が必要です。
獣舎や飼育員自身の手や足の消毒も、決まりを守らなければ正しく消毒がなされず感染症が蔓延したり飼育員自身も感染症にかかってしまうかもしれません。
ふれあいの監視業務も特に子供が動物に噛まれたり、動物が怪我したりすることのないように常に気を張っています。
勿論ですが、動物に対しての知識が必須の職業なので、休日や家に帰った後は本などで勉強をしていました。
知識が無ければお客様の質問に答えられませんし、動物の異常行動や病気に気づくことが出来ません。
動物園飼育員の給料・休日面
給料面は企業によって様々だと思います。
公営だと公務員なので福利厚生もしっかりしています。
私が務めていたところは私営ですが福利厚生はしっかりしていました。
動物園飼育員の平均年収
平均年収:268万円
平均月収:約17万円
最高年収:600万円
民間の動物園飼育員の年収:240万円~300万円
公営の動物園飼育員の年収:270万円~400万円
動物園飼育員の休日
休日は基本週休2日です。シフト性の為不定休で、特に平日休みが多いです。
多く休みたいときは有給を利用していましたが、基本的に動物のお世話をする仕事なので、誰かが休む場合は代わりに他の人が出勤します。
GWやお盆、年末年始はお客様も多いので、殆ど休む事はありません。
動物園飼育員になって良かったと思うこと
飼育員になって自分の担当動物をお世話したり、様々な動物種に携わる事が出来て、もっと動物が好きになった様に感じます。
それと同時にとても奥が深い仕事だと感じました。
生き物に関してはまだまだ分からないことだらけです。
日々お世話をしている中で分からないことだらけで、疑問がどんどん出てきます。
ですが、それら一つ一つと向き合って調べたり悩んだりすることがとても楽しいです。
また、それを同僚と話し合って深めたり、お客様にお話をして動物のことを知ってもらうのも楽しみの一つです。
接客を重ねて私自身もコミュニケーション能力が身についたように感じます。
お客様に動物の説明をしているうちに、その人が動物ってすごい、と感じたり、その動物の事を好きになったりしてくれる事もあります。
特に小動物のふれあいは小さな子供が初めて動物に触れる機会でもあるので、この動物園をきっかけに動物の事を好きになってくれたと思うと、飼育員になって本当に良かったと思えます。
他にも、動物業界では動物福祉や環境問題にふれる機会も多いです。
日本はどちらかというとこれらが遅れている国です。
動物園に訪れた人たちにこの問題を認知してもらうには私たち飼育員の努力が必要なのでは無いかと考えています。
自分の努力で色々な人たちがこの問題に目を向けて、日本の動物福祉や環境問題の考え方が進んでいくと思うと楽しみで仕方がありません。
時には動物が亡くなってしまったり、過酷な作業が多かったりと、辛いこともありますが、飼育員しか見ることの出来ない動物の姿を見ることもできます。
動物が出産する場面に立ち会ったり、人工保育で育児を手伝うこともあります。
担当動物が自分とコミュニケーションをとってくれたり、お互いが通じ合えたと感じるような事もあります。
そういう時は特にこの仕事をやっていて良かったなと思えます。
飼育員はやりがい100点でとてもおすすめ出来るお仕事です。